認知症ケア支援VRは、医療・介護職員が利用者の視点を体験することで、行動の背景や感情を“体感的に”理解できるプログラムです。
「食事を拒む」「帰りたいと訴える」など、現場でよくある場面を再現し、どんな言葉かけや環境づくりが安心につながるかを学びます。
感情だけでなく行動心理学の知見も踏まえた、科学的で実践的な教材です。
認知症の方の行動には、本人にしか見えていない理由があります。
VRでは、利用者の目線や考えを再現。食べ物が認識できなかった、不安による職員への不信感など、認知症の方の見ている世界を擬似体験できます。
この体験を通して、介護者が自然と共感の視点を持ち、「なぜそう感じるのか」「どう関わると安心できるのか」を考える力を育みます。
VR体験の後には、行動分析のフレームを用いた振り返りを行います。「気持ち」「きっかけ」「介護者の対応」などを体系的に整理しながら、適切な支援方法を導き出します。
体験と分析をセットで行うことで、感情に頼らない、再現性のあるケアを身につけることができます。
VR体験は1人ずつでも、複数人での研修にも対応可能です。映像を共有しながら意見交換することで、チーム全体の“気づき”を共有し、ケアの統一を図れます。
新人研修や介護福祉士実習、家族支援プログラムなどにも活用でき、「気づき→共有→行動変化」の学びの循環を生み出します。
昼食の場面で、認知症の方が「食べられない」と食事を拒否するシーンを再現したVRコンテンツです。
認知症の方の視点では、目の前の料理が何かわからず、匂いや色が不快に感じられるなど、感覚の混乱や不安から“食べたくない”という気持ちが生まれます。一方で、介護者が「食べてください」と繰り返すことで、さらに不信感や怒りが高まる様子も体験。体験後には、献立の伝え方や香り・音・表情など、五感に訴える安心づくりの工夫を学びます。
“拒否”の裏にある本人の気持ちを理解し、寄り添うケアを考えるきっかけとなるプログラムです。
体験時間 約13分
介護の中で起こる戸惑いを自分の視点で体感し、利用者の気持ちや行動の背景を実感的に理解します。
認知症の方を変えるのではなく、行動分析に基づいた介護者の工夫が有効であることを学びます。
現場での対応事例を通して、状況に応じた工夫のパターンや考え方を学び、支援の幅を広げます。
体験と振り返りを通じて、日々の介護を見直し、現場の質を高める意識を育みます。
認知症ケア支援VRは、介護職員の教育研修をはじめ、家族向け講座や地域支援活動にも活用できます。
VRゴーグルを使った個人体験のほか、スクリーン投影でグループ視聴・意見交換にも対応。
導入後は、研修用ワークシートを活用して学びを職場のケア方針に落とし込むことが可能です。
単なる“映像教材”ではなく、施設全体で「共感・理解・行動」を育てる学習ツールです。
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加藤伸司 先生
東北福祉大学総合福祉学部福祉心理学科 教授
認知症介護研究・研修仙台センター センター長
認知症の方の行動には意味があり、その行動の背景や感情を理解することは重要です。このVRプログラムを通じて多くの医療・介護職が当事者を一人の人として尊重し、質の高いケアの実践に取り組むことを期待しています。