感情認知トレーニングの
理論的背景

社会認知の機能

社会で対人関係のやり取りをするための機能である「社会機能」を改善するには、記憶力や注意力、判断力といった「神経認知」と呼ばれる機能の改善に加えて、「相手の感情や考え、行動の意図を推測する力」といった「社会認知」と呼ばれる 機能の改善が重要だといわれています。

社会認知・対人関係のトレーニングの存在

対人関係を築く能力のことを「社会機能」と呼びます。社会機能を改善させる ことで、学校や家庭、職場などの所属するコミュニティでの対人関係が改善し、生活の質や満足度が向上します。

この社会機能を改善させる目的で、「社会認知ならびに対人関係のトレーニング (Social Cognition and Interaction Training:SCIT)」というトレーニングプログラムが開発され、効果が検証されました。感情認知トレーニングは、この SCITの理論を背景に開発されました。

デイビッド・ロバーツ、 デイビット・ペン、デニス・コームズ
(監修:中込和幸、兼子幸一、最上多美子)
『社会認知ならびに対人関係のトレーニング(SCIT)治療マニュアル』 星和書店、2011

社会認知の5つの領域

社会認知には、以下の表に示す5つの要素があるといわれています。
感情認知トレーニングが対象とするのは、感情処理(情動処理)の領域です。

「感情認知」が社会認知の
改善のスタート

「社会認知」とは「相手の感情や考え、行動の意図を推測する力」を指しますが、感情や考え、行動の意図は目に見えるものではないので、100% 正しく当てることはできません。

しかし非言語的な手掛かりとなる相手の表情や声の調子、仕草、視線の向きや 姿勢などから、「感情」を推測する力を高めることができます。相手の「感情」を 推測できるようになると、「相手の考えや行動の意図」を推測しやすくなります。また、それに合わせた対応をとれる可能性が高まります。そのため、相手の「感情」を「認知」する力を改善することが、社会認知の改善のスタートになります。

つまり、「社会認知」の5つの要素のうち、相手の感情を読み取ったり、自分の感情を理解して対処する能力である「感情処理」の力を改善することが、社会認知の改善のスタートになります。

FACEDUO 感情認知トレーニング

「FACEDUO 感情認知トレーニング」は、「社会認知ならびに対人関係のトレーニ ング(SCIT)」や社会認知の理論を背景としつつ、「相手の感情を推測する」「相手の感情に合わせた対応をする」ことに特化したトレーニング方法です。

トレーニングでは、「相手の感情を推測する」ために、「感情を表す言葉」「表情」「声・仕草」を学習します。また「相手の感情に合わせた対応をする」ため に、相手の感情に合わせた「共感」を学習します。