視点を入れ替え、対応を振り返ることでコミュニケーションへの気づきを促し、
家庭内における当事者との関係性改善をサポートします。
本サービスは、当事者と生活する家族の方を対象としたプログラムです。VR体験を通して、コミュニケーションのポイントを学習するだけでなく、家庭内で実践するための練習まで同時に取り組むことができます。
全てのVRコンテンツは「状況体験」「工夫発見」「実践練習」の3つのパートで構成されています。
はじめによくある場面を体験し、次にどのようなポイントが重要であるかを学び、最後にVR上で実際に練習するという流れで体験していきます。
家族視点で、ついついやってしまいがちな対応を体験するパートです。当事者とのやり取りの中で、感情的になってしまったり、操作的になってしまうことで、思いが伝わらない場面を体験します。心の仕組み図による振り返りで、背景にある自分自身の気持ちにも目を向けていきます。
視点を入れ替えて、当事者視点で先程の体験を振り返るパートです。客観的に自らの態度や対応を観察し、どのような工夫が必要であったかを考えます。VR空間上の支援者が進行をリードしてくれるので、実施者の負担も軽減されます。
VR上で登場人物に対して、実際に声かけの練習を行うパートです。体験前に適切なモデルが示されるので、表情や間のとり方、共感の方法といった具体的な方法についても学習をすることができます。リアルな空間の中で実践的な練習を重ねることで、日常生活での般化を目指します。
コンテンツサンプル
FACEDUOは家族だけでなく、ひきこもりの当事者の方に向けたプログラムも用意しています。当事者のプログラムでは、ソーシャルスキルトレーニングVRを応用することで、社会生活を送る上で必要なスキルを身につけるための「予行練習」が可能となります。
加藤隆弘 先生
九州大学大学院 医学研究院 精神病態医学 准教授
(ひきこもり研究ラボ@九州大学 代表)
「社会的ひきこもり」は、6ヶ月以上にわたり就労・学業など社会参加を回避し自宅に留まっている現象であり、国内では140万人以上の方々がひきこもり状態にあると推計されています。ひきこもりの背景としてうつ病など精神疾患の併存が珍しくありません。精神疾患やひきこもりに対する偏見や誤解のために、本人ばかりでなく家族も相談機関や精神科などの医療機関への来所・受診をためらい、見て見ぬふりをしてしまうことが少なくありません。その結果ひきこもり支援の開始が大幅に遅れ、8050問題など長期化・高齢化が社会問題となっています。私たちは家族がひきこもりや精神疾患への理解を深め、ひきこもる本人の来所・受診がスムーズに進むことを願い、家族からの声かけなど具体的な対話スキルを習得できるように、ロールプレイを盛り込んだVRプログラムを開発しました。こうしたプログラムを基にした家族向けの教育支援が全国のひきこもり支援機関で活用されることで、ひきこもる本人による直接の来所・受診が早まり、ひきこもりの長期化解消の一助となることを期待しています。