VRの体験で納得度が向上する/福岡市認知症フレンドリーセンター

VRの体験で納得度が向上する/福岡市認知症フレンドリーセンター

福岡市フレンドリーセンター 党 一浩様

「福岡市認知症フレンドリーセンター」開設の背景

福岡市は2017年以降、少子化と高齢化が同時にそして急激に進む未知の課題に対し、行政だけでなく大学や企業など多様なプレーヤーと共に100のアクションを実践する「福岡100」に取り組んできました。その中で、認知症になっても、住み慣れた地域で安心して自分らしく暮らせるまちを目指し、2018年に「認知症フレンドリーシティ・プロジェクト」を開始しました。そして、この取組みを集約した拠点施設として、2023年9月に「認知症フレンドリーセンター」を開設しました。

センターの二つの特徴

当センターでは、認知症の人やご家族等からの相談対応に加え、認知症の人同士の交流や活躍機会の創出を積極的に進めています。
また、認知症コミュニケーション・ケア技法「ユマニチュード® 」等の研修の開催、ARを活用した認知症当事者体験などを行っています。
「認知症の人にもやさしいデザイン」を全面導入しており、コントラストを設けたり、サインの見やすさや配置などの工夫を加えることで、認知症の人を含むあらゆる人にとってわかりやすく、心地よく過ごせる空間となっています。

こうした環境により、市民の方が気軽に立ち寄っていただける場となり、ふらりと訪れる方もいらっしゃいます。
困りごとのご相談に関しても、お茶菓子を食べながら雑談のような雰囲気でお話を伺っています。

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私たちの想い

私たちは、認知症の人を「ケアする対象」として捉えず、共生社会の実現に向けて「誰もが活躍できる活力ある社会」を目指しています。当センターでは、認知症の人が4名働いています。大切なことは、まだ社会に根深くある認知症の負のイメージを払拭することや、当事者の方が希望を持って活躍する姿を広く世に知ってもらうことだと思います。

また、認知症の人は人生の先輩になりますので、後輩の立場から学ぶことも大切にしています。共に対等な関係の中で時間を過ごすことで気づかされることが多いですし、これが新しい認知症観なのではと思っています。

居場所を作るなどの環境調整だけでBPSD(認知症の行動・心理症状)が改善すると言われています。こうしたアプローチをより多くの市民に知っていただきたいです。
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FACEDUO認知症ケア支援VRについて

セミナーや書籍などで得られる理解度とは大きく異なり、VRの体験で納得度が向上する印象があります。それは認知症当事者の視点で場面を体験できるからであり、自身のこれまでのケアの振り返りにも繋がります。意識変容という文脈からしても期待が高く、活用の輪が広がればと思っています。今、介護で困っている人、地域包括支援センターなどに足を運ぶ方が体験されれば、ケアの幅が広がると思います。

センターでは、FACEDUOを設置し、認知症ケア支援を学びたい方に対して、実機を使用した体験ができるようになっています。

※大塚製薬は福岡オレンジパートナーズに参画しています。

認知症ケア支援VRに関するお問い合わせがございましたら、下記ボタンよりご連絡下さい。