4月2日、感情認知トレーニングに関するメディアセミナーを開催しました

4月2日の「世界自閉症啓発デー」および4月2日から8日までの「発達障害啓発週間」に際し、
相手の感情を読む力を鍛える感情認知トレーニングに関するメディアセミナーを開催しました。
セミナーでは社会認知の複数の専門家から、社会認知、感情認知について、お話頂きました。

東邦大学医学部精神神経医学講座 教授 根本隆洋先生

発達障害・精神疾患患者の社会機能を維持するために
社会認知(人が他者を理解し効果的にかかわりあうために必要な技能)が重要である。
社会認知が障害を受けると、仕事や学業など社会生活における困難につながる、
具体的には「ドラマが面白いと感じられなくなる」、「話しかけられると不安になる」、
「人と会うのが怖い」、といった困りごとが生ずる。

東邦大学と複数の研究施設で行った共同調査から、精神疾患当事者は健常対照者よりも
社会認知に関する困難感を強く持っており、その困難感は就学就労や対人関係などの社会機能に
強く影響していたことが分かった。
社会認知ならびに、社会認知の中核となる相手の感情を読み取る力(感情認知)はトレーニングで
回復が期待できることから、東邦大学大森病院メンタルヘルスセンターイルボスコでは社会認知・
対人関係トレーニング(SCIT)を実施している。

株式会社ジョリーグッド 上級医療統括顧問/東京大学医学附属病院 こころの発達診療部 蟹江綾子先生

自閉スペクトラム症及び統合失調症の心理社会的支援では、職場・学校の人・家族・友人と
対人関係の「役割」を果たす力としての社会機能の向上が重要であり、社会機能向上のためには
社会認知を鍛えることが重要となる。また、相手の感情を推測できるようになると、
その感情にあわせた対応ができるようになることから、社会認知の向上のためには、
社会認知のなかの「感情認知」がまずは重要となる。

FACEDUO感情認知トレーニングは「社会認知および対人関係トレーニング(SCIT)」の理論をもとに
構築された、6つの基本感情を4つのステップで学ぶVRプログラムであり、単なる学習プログラムではなく、
体験者自身が楽しくトレーニングできるようゲーミフィケーションの要素を取り入れている。

NPO法人日本学び協会 ワンモア豊中 代表 芳賀大輔先生

就労移行支援事業であるワンモアでは、本人が何をしたいか・仕事が長く続くために必要なことはなにかを
重要視しており、そのため生活改善・ワーキングスキルのほか、自分の状況や日常生活で起こるストレスへの
対処スキルの獲得、情報収集などを円滑に行うことができるよう、SCITやSSTをプログラムに取り入れている。
発達障害・精神疾患のある利用者にとって、仕事をする上(日常生活でも)で人と付き合いは重要であるが故、
社会認知は重要な要素である。社会認知・感情認知に障害があると、職場での人付き合いが
うまくいかないことでストレスとなる、職場環境によって能力を発揮できないなどの課題が生ずる。
そのため、FACEDUOによる感情認知トレーニングは社会認知のうち重要な感情認知という機能面の改善、
SSTは対人コミュニケーションを行うための行動面の改善が期待でき、対象となる利用者に両方のアプローチが可能となる。